#41 投球障害予防のための投球動作分析
最近、投球動作について考えることがあります。
帯同している大学野球部でも投球フォームを見ることがあります。
「投球フォーム見て欲しいんですけど良いですか?」
「なんかしっくりこないんですよね。。。何が変ですかね。。。?」
と聞かれることが多々あります。
僕は元々ピッチャーでもないですし、ピッチングコーチでもありません。
自分の経験則のみで「こうした方が良いよ」などと安易なことは言えませんし、トレーナーという立場であるため、下手に言うことで選手生命を短くしてしまう可能性も有りますし、監督・コーチからも良く思われません。
ただ、選手が僕に聞いてくるということは何かを「求めている」ということなので、トレーナーとして機能解剖学、バイオメカニクス的な観点からアドバイスをするように心がけています。その時には動画を撮って各ポイントで動画を止めながらポイントを伝えています。
そこで僕が診る投球動作のポイントとして6つのポイントがあります。
①バランスポイント(Balance Pointo)
②セパレーション
④肩関節最大外旋時(MER)
⑤リリースポイント(REL)
⑥フォロースルー(Follow-Through)
この6つのポイントで動画を止めてチェックをしていきます。
①では、そもそも真っ直ぐ立つことが出来ているのか?
②股関節主導(ヒップヒンジ)になっているのか?
③ステップ脚が着地した際の肩外転・水平外転、肘屈曲、膝屈曲の角度がどうなっているのか?
④での肩最大外旋角度がどのくらいなのか?
⑤リリースその際の肘、肩、体幹屈曲、側屈角度はどうなっているのか?
⑥体重移動が十分に行なえているのか?
など、各チェックポイントをビデオを止めてチェックしていきます。
そこのポイントを見て「肘に負担のかかる投げ方」「肩に負担がかかる投げ方」などを調べたデータがあります。
〇肘の負担は…(UCL)
・前足着地時(SFC)に肩の外転角度が大きく(肘が高く上がり過ぎている)、最大外反力(最大外旋時の手前)がかかる時に肘が伸びていると肘の内側に負担が増える。
〇肩の負担は…
・肩の最大外旋角度が大きく(沢山しなる)、前足着地時(SFC)に肘の屈曲角度が小さい(腕が伸びている)、リリース時に肘が曲がっていると肩の負担が増える。
などのデータも出ています。詳しい数字は忘れてしまいました。。。
ということは、ビデオで止めた際にこの辺りのポイントを見ることで「障害発生」リスクを見つけ出すことが出来るということですね。
あとは大事にしないといけないことは「なぜそのようになっているのか?」を考えることです。
あくまでビデオを止めて診ることは「現象」です。
我々が見つけないといけないのは起きている「現象」の「原因」になります。
その原因が各関節の機能的な問題であれば我々トレーナーが介入をして改善していくべきですし、投球のテクニカルな部分であればピッチングコーチが介入をすべきです。
これまでの様々なデータとしてケガをしない選手の特徴として、肘の角度が…、肩の外転角度が…などありますが、すべてをその選手に当てはめる必要はありません。
要は型にはめ過ぎないようにするということですね。データはあくまで統計ですので。
もちろんこのデータに当てはまらないでも、まったくケガをしない選手もいますし、すごい成績を伸している選手はたくさんいます。
逆に型にはめてしまうことでケガをしてしまう選手もいますし、パフォーマンスが低下して成績が残せなくなってしまう選手も出てきます。
人の身体は千差万別、大事なことは選手一人一人の身体の状態に合わせた指導になります。
3月に受けたセミナーで感じたこと、頭の整理としてツラツラと書かせてもらいました。
以上