#61 競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方
発売された当初から気になっていた本を購入して早速読み切りました。
個人やチームに対してウエイトトレーニングの指導をすることが多く、ウエイトトレーニングで得た筋力などをどのように競技に繋げてパフォーマンスを向上させるのかという部分に悩んでいたこともあり、何かヒントにならないかと思い読んでみました。
具体的なトレーニング内容などはほとんど書いていません。
「How to」ではなく「Why」の部分がしっかりと書かれた本で「考え方」を学ばせてもらい、たくさんの気づきを与えてくれる本でした。
自分の中での「なぜ」の部分が解消される本でとても良かったです。
当たり前だけども大事なこと
本の内容としても以下のことが書かれています。
①練習とトレーニングでは主目的が異なる
②ウエイトトレーニングの定義
③アスリートがウエイトトレーニングをするべき理由
④トレーニングは競技力向上にどのように貢献できるか
⑤トレーニングが競技力向上に繋がるプロセス
⑥トレーニングの原則
読んでみると当たり前のことですが、この著者はとにかく「Why」を深堀して深堀して言葉にしています。
練習とトレーニングの目的
この辺当たり前ですが、
●練習の主目的は「技術」の向上
●トレーニングの主目的は「体力」の向上
ということが書かれています。
当たり前のことではありますが、「技術を身に付けるためには体力が必要であり、体力を活かすためには技術が必要」となってきます。もちろん「技術」を向上させていくことで「体力」も向上していきますが、限界があります。そのため、練習では得られない刺激を受け、体力を向上させることは競技力を向上させていく上ではとても大事なことなんです。
また体力が向上することにより、これまでと同じ体の使い方をしていると競技成績を落としてしまうこともあります。
ゴルフを例えに、ウエイトトレーニングをすることで筋力が向上し、ショットの飛距離が伸びたとします。しかし、比較的短い距離でのショットでグリーンオンを狙うような場面において、今まで同じ力の加減で打ってしまうと筋力が向上して飛距離が伸びている分、ボールがグリーンをオーバーをして外れてしまうリスクがあります。
このようになってしまった場合には短い距離のショットをコントールする技術を練習によって新たに身に付ける必要があります。
つまり、向上した体力を生かすためには、技術が必要と言うことになります。
そのため、「技術を身に付けるためには体力が必要であり、体力を活かすためには技術が必要」ということになります。
なので技術と体力は切っても切れない関係なのです。
「勝つ」ことが目的
競技スポーツをしているアスリートの最終目標は「勝つ」ことです。
「勝つ」ことを目的として練習やトレーニングを実施しています。
練習やトレーニングは勝つ確率を少しでも上げるための「手段」に過ぎません。
特に練習は技術を向上させていくためには決して外せないよう要素の1つです。トレーニングはその「勝つ確率」を少しでも上げるための「手段」の1つでしかありません。トレーニングをしたから必ず勝てるというわけではありません。
少しでもその確率を上げていくための手段で、確率が少しでも上がるのであればやらない理由はないと思います。
ただし、気を付けなければならないのはただ闇雲にトレーニングを行えば良いかと言えばそうではありません。大切なことは「適切にトレーニングを実施する」ことになります。
この「適切」というのは様々な要素が含まれていますが、
・自分の身体に合わせた効率的で効果的なプログラムの実施
・自分の身体に合わせた効率的で効果的なトレーニングフォームで実施
の2つが非常に大事になってきます。
「有名人がやっているトレーニング」「〇〇に効果的なトレーニング」など世の中にはたくさんの「How to(方法)」がありますが、それはたまたまその人だから結果出たトレーニングかもしれません。
本来であればその人の身体をしっかりと評価し、その人にあったトレーニングプログラムを実施することが最も効果的です。
アスリートであれば現状どのような課題があって、何が問題でその課題が発生してしまっているのかを評価して、それを解決するためのプログラムを実施するのが最も効果的となります。
それを行うことで「勝つ確率」と言うのは上がってきます。
闇雲にトレーニングをするだけではダメなんですよね。
常に自分の頭で考え続ける習慣
この本の最後に書いてありましたが、
「常に自分の頭で考え続ける習慣」
を身に付けることが大事とありました。
教科書に書いてあること、学校の先生が言っていたこと、有名アスリートが言っていたことであっても「なぜ、そうなのだろう?」と考えることを習慣にすること。
すべてを鵜呑みにせず、自分の頭でよく考え、納得できる部分だけ取り入れていく。
納得できないならなぜ納得できないのか?どこが間違っているのか、自分だったらどう考えるのかをトコトン突き詰めて自問自答をする。
やはり納得いかないことはなんかモヤモヤしますし、我々トレーナーと言われる仕事をしていると納得のいかないことは上手く説明もできないし、相手も理解できません。
自分の頭でしっかり考えて納得いく答えを出す。
それが自分自身の成長にも繋がってきますので、トコトン考えてきます。
トレーニングからのパフォーマンス向上の考え方を気付かせてくれた本でもありますが、改めて「考え方」「考え続ける習慣」が大事ということを気付かせてくれた本でした。